午後から「町民の会」の今年最後の事務局会議です。署名の到達点を確認し今後のとりくみについて協議します。
池田町で「戦争法廃止」の署名活動を始めたのが12月1日。今年中に500を越えようと決めていたのを、すでに780筆を越えているのですから、ものすごい前進。町民の会に結集するみなさんの奮闘が光ります。
さて、昨日書いた「従軍慰安婦」問題について、安倍首相のフェイスブックをみると、さまざまな書き込みが並んでいます。以下は28日の書き込みから。
・あんな嘘つきでドロボーの朝鮮人の国に一円も出してはだめです。間違った選択をしないで下さい。間違った選択をしたら、安倍総理と自民党の支持者は半分以下になります。私たちの税金をそんなことに使わないで下さい。
・安倍総理、慰安婦問題を巡るこれまでの政権の姿勢を支持していたのですが、本日は完全に幻滅しました。予算からの基金支出は日本政府としての法的責任を認めたことになってしまいましたし・・・
・今回の韓国対応、完全に判断ミスですよ。国民の意志とかなりずれてます。いままでが良かったから本当に残念です、今からでも遅くないです。岸田さんを即刻帰国させて下さい。
・解決済みで突っぱねればいいものを、なぜわざわざ日本から出向いてまで慰安婦問題で動いているのか、本当に理解に苦しみます。
・ お金を出すということは、していないことを証拠もでているのに、沈静化のためにしていると認めるような・・子供たちにそのまま教育になってしまいます。
・日本兵は慰安婦を犯していない。金で雇われた売春婦だけ。 それなのに、日本兵を全て性犯罪者にした安倍総理や安倍政権や自民党には、本当に失望しました。
・安倍総理のおかげで、私の祖父達は世界中から性犯罪者扱いをされてしまった。本当に安倍総理こそ靖国神社で土下座をして欲しい。
・祖父は売春婦に手も出していない。それなのに昨日の外相会談で日本兵は性犯罪者扱いになってる。歴史上、ありもしなかった慰安婦(売春婦)の名誉の為に何故、日本兵全てが世界中で性犯罪者扱いされないといけないのか。他国の証言でも中国と韓国は、そもそも国として存在していないのにだ。
・本当に、失望した。慰安婦問題で軍が関与と、発表しているが、セックススレイブを認めたことと同じで、日本を守るために、戦って行った方々の尊厳を傷つける内容で、容認できません。
もうこれ以上引用するのはやめましょう。結局これらに共通する認識はこうです。
@慰安婦は職業「売春婦」にすぎない。
A日本兵は日本を守るために戦ったのであって、日本兵全てを性犯罪者にすることは許せない。
B「日本軍の性犯罪」などは韓国・中国による歴史の捏造だ。ありもしないことで謝罪する必要はない。
こうした書き込みを見ると、例の稲田朋美自民党政調会長が「百人切り裁判」で披瀝した、「皇軍がそんなことをするはずがない」という「確たる信念」を思い出します。
稲田氏を含むこれらの人たちにとって、目の前にいる、あるいは目の前にいたあの「温厚で誠実」なおじいちゃん、友人、知人たちは皇軍のすぐれた兵士だったのであり、日本のために命を投げ出してたたかった人々であり、軍人の鏡のような人々なのです。だから性犯罪者呼ばわりされる事実もないし、そのような捏造のために人間を貶められることもあり得ない、我慢がならない・・・というわけです。その底流にあるのはまぎれもなく歴史修正主義でありレイシズムです。
「絶対にするはずがない」→「絶対にない」という思い込みの前では、たとえ軍の関与を示す文書が発見(事実発見されている)されても、それは捏造になるのでしょうし、いかなる証言も「ためにするつくり話」となってしまう。
おそらく、南方の戦場でたたかった兵士の過半数が餓死した事実も、終戦に先だって大量の軍関係の文書を焼却し証拠隠滅を図った事実もすべて捨象されて、都合のよいところだけをつぎはぎした「認識」で終始するのではないでしょうか。
この国にとっての不幸は、あの戦争が「侵略戦争」だったという事実を受け入れられない人たちがいまだに数多くいることです。
地域の隅々で、こうした意識なきレイシズムや「大東亜戦争肯定」の気分を払拭するための粘り強いたたかいなくしてこれらの風潮をなくすることはできません。これらとはたたかうしかない。歴史学の積み重ねや証言の積み上げによって、これらの主張にはどれほどの理性的判断も世界史的見地も存在していないことを事実で突き付けていくしかない。
それでもあいかわらず、議論はすれ違い、いわれなき悪罵と偏見、ポピュリズムの政治手法で同じことが蒸し返されていくでしょう。それでも、圧倒的な言論でたたかうしかない。沖縄でそうであるように、理性的で人間的な見地がいずれ多数を占めることは間違いないのですから。
さて、韓国では元「慰安婦」を中心に、今回の政府間合意について国家賠償や正式謝罪がないとして厳しく抗議する動きがあると報じられています。ある意味では安倍政権としての最大限の対応であり決着ですから、それも当然でしょう。
この問題は、この国において上に述べた歴史修正主義の潮流を克服し、アジアでの日本の戦争責任を明確にしたときに初めて解決される問題です。
だが、実際には自民党とそれを支える右翼的な流れの強まりの中で、あの戦争を肯定し、明文改憲をめざした動きが激しくなっているわけですから、まずこれを粉砕することが大切なわけで、そのたたかいなくして元慰安婦の声に応えることはできません。