毎日新聞が昨日の夕刊で「数学ブーム、なぜ続く 囲碁、将棋に匹敵する知的遊び IT、金融企業に需要」という特集を載せていました。
それによると「ブーム」から7年を経てもなお勢いは衰えていないのだそう。これは首都圏だけなのかもしれませんけれど、「大人のための数学教室」が盛況なのだと書いてありました。数学パズルではなくて、結構本格的な理論を求めているとも。
そういえば、ブームが話題になり出した頃(2011年)にNHKが「クローズアップ現代」で「大人がハマる”数学ブーム”」を放映したようで、その解説では「混迷する不安定な社会にあって、確かなものに接したいという願いと、想定外の事態でも進むべき道を切り開ける強さを身につけたいというニーズがある」と分析していました。それがいまだに続いているということでしょうか。
田舎にいると、とてもそんな「ブーム」があるとも思えませんので、今日「子どもじゅく」に出掛ける前に松本の丸善に行って数学の啓蒙書などがどこに置いてあるのか聞いてみた。
すると係の人が検索してみてくれたが、「平積み」になっている気配もなく、どうもそれらしいものはみつからない。結局理工学書の棚に案内されてしまいました。
多分これだろうなと見当をつけて入手してきたのが、「オイラーの贈物」(吉田武 東海大学出版会)と「ガロアに出会う はじめてのガロア理論」(のんびり数学研究会 数学書房)の2冊。
「オイラーの贈物」は解析学の初心者向けの本で、「博士の愛した数式」の一つ(だったと記憶しているのですが・・・)である、
のもともとの式、つまりオイラーの公式、
の理解をめざすことが目標となっています。
今日は「子どもじゅく」がスタッフ過剰でヒマだったので、質問の合間に「オイラーの贈物」をつらつら眺めていました。大学の数学科では初年度に学ぶような内容なので、公式自体はなじみのものなのでが、この公式のi、e、πの結合した美しさは神秘的でさえあり、数学者でなくてもこの公式に引きつけられるのはごくごく自然なものでしょう。
「e(自然対数の底=ネイピア数)、i(虚数単位)、π(円周率)、1(乗法の単位元)、0(加法の単位元)という数学上欠かすことのできない5つの数が、このような単純な形の式で構造化されている」として、この公式を巡るさまざまな考察がネット上でもあふれています。それほどに興味を引いてやまない公式なのです。
これに至るまでには、高校で学ぶ微積分や三角関数の知識、複素数の知識などが必要で、理論を少しずつ積み重ねていくのですが、それほど専門的な知識を必要としないことと、険しい山道を登っていくとついには目を疑うばかりの美しいお花畑に出るという感じに似ているために、もう一度数学をと言う人には格好の素材になっているのかもしれません。
別に混迷する社会において確かなものをつかみたいという訳ではありませんが、もう一度の復習と周辺の事柄の学び直しという意味で、私も読んでみようかなと思った次第。だれか一緒に勉強しませんかね。