日本人の氏名の英語表記について、柴山文部科学大臣が「名字を先にするよう関係機関などに要請する」との報道が数日前に流れました。それを聞いていて不思議だったのは、これを答申した国語審議会が「言語や文化の多様性を生かすため名字を先にするのが望ましい」としていたことが根拠になっていると報道されていること。一体「言語や文化の多様性」とは何ですかね。
ちなみに、
国語審議会の答申を見てみると、そこには「『名−姓』の順とする慣習は、明治の欧化主義の時代に定着したものであり、欧米の人名の形式に合わせたものである」とその成り立ちをちゃんと書いていましたね。そして、今日では「人類の持つ言語や文化の多様性を人類全体が意識し、生かしていくべきである」という立場が表明され、それに続けて「各々の人名固有の形式が生きる形で紹介・記述されることが望ましい」と書かれていました。それなら納得できます。
1990年にワシントンポストの極東特派員として東京に来たトム・リード記者が「ニッポン見聞録」で面白いことを書いています。
90年代の日本の話ですが、ローマ字表記では「姓名」、「名姓」のどちらがいいかと日本人にアンケートを行ったところ、約6割が日本式の「姓名」の順だと答えたというのです。出身階層でみると、サラリーマン、教師、農民など一般市民はほとんどが日本式を選ぶと回答。しかし、政治家、学者、作家などエリート層はおおむね西洋式がよろしいと答えたと紹介していました。
トム・リードさんは日本に来る前後から、ワシントンポストで日本人名を書くときには日本式で書くべきだ、ワシントンポストが先鞭をつければ欧米のメディアも従うのではないかと主張し、上層部にも手紙を書いたそう。しかし、欧米で名前が出るエリート層が西欧式を望んでいることがわかって上司への説得が難しくなったとも書いていました。
その当時ワシントンポストのデスクはリードさんに次のように言ったそうな。「メディアの表記は当分変えない。日本人が日本式に名前を書いてほしいとはっきり言うまではな」
リードさんははじめ、西欧が表記を押しつけたんじゃないかと思っていたけれど、「歴史をひもとくと、日本の人名を西洋式書くという方式は、なんと日本に端を発しているのだということがわかった。西欧側が、文化的帝国主義を振りかざしたわけではなかった」ということを知って驚いたと語っているのです。「明治の改革者たちは、1870年ごろ、できる限り西洋人に近づきたい一心で、西洋式の名前の呼び方を採用していたのだ」とも。
だれがいつどのようにこうしたのかは私にはわかりませんが、ヘンだと思う人は多いはず。しかし、慣習だからというので、なし崩しにこれまでは従っていたのでしょう。
国語審議会ではずいぶん前に答申を出していますが、文科相の「要請」はあまりに遅く、また弱々しい。アジア諸国では日本だけがこのような呼び方になっている不自然さを直視して、なぜきっぱりと変更するようにできないのでしょうかね。
そういえば、長野でも「サイトウキネン・フェスティバル」が「セイジ・オザワ・フェスティバル」になったのは2015年ですもんね。西欧式は根強いのですよ、この国では。文化人達が西欧式に名前を書いても、別に媚びているとは思いません(潜在的には欧米並びという心理はあるのかも)けれど、どの国の人に対しても自分たちの名前はもっと大事にすべきだと私は思うのですが。
**********************************さて、今日はバラ園整備の定例日。バラ祭りを1週間ちょっと後に控えて、準備に汗を流しました。
去年の今頃はバラの花もかなり咲いて彩り豊かだったのに、今年はまだつぼみが固く、咲き始めまでにあと数日はかかりそう。取材に訪れた新聞社の記者も「また写真取りに来ます」と言わざるを得ない状態でした。バラ祭りも咲き始めで迎えるという異例の事態になりそうで心配です。
それでも、みんなで力を合わせたかいもあって、草刈りやチップ敷きも進んで「サマ」になってきました。あとはバラが咲いてくれるのを待つだけ。
私は、代表の責任上、このところ毎日バラ園に通って草刈りをしています。今週の土日にはシルバー人材センターから何人かが来てくれて園内の除草をやってくれることになっているので、それが済めばほぼ準備は整います。
バラ園のあとは畑に。今日でスイカ、カボチャ、マクワウリ、冬瓜など横に広がる作物の植え付け準備(穴掘りと施肥)を終了。明日水を撒いて、植えられるものを植えてこようと考えています。
21日には本格的にしっかり雨が降ってくれて本当によかった。ただ、夜の気温がかなり低く、昨夜などは「霜注意報」が出るほどで、エンドウやゴーヤー、キュウリの伸びが悪い。イチゴも粒が異様に小さく甘みが乏しい。バラだけではなく野菜にとっても、今年の気温の変化は確かに異様です。とにかく、早く初夏の気温になってほしいなあ。